海外駐在・赴任の内示が出た方、渡航準備中の方向けです。
今回は重要ですが、案外見落としがちな、海外駐在における就業規則や海外駐在規定に関して、紹介していきたいと思います。
会社によっては謎のベールに包まれていたり、読むのがめんどくさかったりと、適当にスルーしている人も多いかと思います。
しかし充実した駐在生活を送るためにも、是非一読して、理解することをおすすめします。
就業規則はルールブック
会社員にとって就業規則は、スポーツでいうルールブックと同じです。
スポーツであれば原則万国共通のルールに沿って競技が行われますし、サラリーマンにとっては会社の作ったルールに沿って勤務をします。
これは海外駐在員も同様です。
しかし海外駐在員の場合、駐在地が同じであっても、企業毎にルールが異なるため、労働環境や待遇、生活環境はまちまちです。
もっと突っ込むと、同じ会社でも赴任地、役職、階級、年齢、既婚・未婚、子供有り・無し、家族帯同・非帯同など、全く同じ条件の人を探すことは不可能と言っても過言ではないでしょう。
日本で働いていれば、周りも同じですので、強く”ルール”を意識しなくても情報は入ってきますし、理解も楽ですが、海外駐在では周りに頼ることなく、”自分自身の現状・環境”と”ルール”を照らし合わせ、自分に適応されるルールを見つけ出す必要があります。
駐在員が理解すべきルールは大きく分けて2つ
日本に本社を置く日系企業勤務で、海外の子会社や関係会社へ駐在・出向するパターンを想定しています。
その場合、駐在員が理解すべきルールは大きく2つです。
- 本社(日本)の就業規則や海外駐在規定
- 海外子会社・関係会社(駐在先)の就業規則
本社(日本)の就業規則や海外駐在規定
給料や手当などの賃金関係、家賃補助や引越し代などの住居関係、一時帰国費用や休暇などの制度関係のほとんどが、本社(日本)の就業規則や海外駐在規定に基づいて、決められるのが一般的です。
これは海外駐在員側に駐在地域による経済的・精神的な負担格差が出ないように、本社で一元管理がされているためと思います。
海外子会社・関係会社(駐在先)の就業規則
一方で、赴任地での役職、勤務体系や保険などの福利厚生は、駐在先の就業規則によって決められることが多いように思います。
役職や勤務体系に関しては、国によって就業ビザの取得条件が異なり、実情に合わせた(ビザが取りやすい)対応が各々求められるため、駐在先(国)ごとに役職や勤務体系が設定されていると考えます。
例えばアメリカのE2ビザの場合、たとえ日本では一般社員であっても、”Manager”がつく役職でビザ申請することが多いです。
E2ビザ申請の要件には下記のような記載があります。
申請者が従業員の場合は、米国業務の役員または管理職あるいはその企業に必要不可欠な専門知識を有する職種に就く予定であること。 (9 FAM 402.9-7)
https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/nonimmigrant-visas-ja/e1-e2-visas-ja/apply-step-1-ja/e2-ja/
ちなみに”Manager”が付いても付かなくても、給料や手当は本社が決定するのが一般的ですので、あくまで就労ビザ取得のためと言えるでしょう。
また医療保険や車両保険といった福利厚生も、駐在先の従業員と同様の恩恵を受けれることが多いように思えます。
もちろん企業によっては、保険は本社負担だったりと境目は異なりますが、大切なのは理解すべきルールが2つあるということを認識することです。
なぜ理解することが大切なのか
一言で言うと、ルールを知らずして勝利はないからです。
スポーツもルールを知らずして、勝つことはできないですよね。
海外駐在するということは、仕事、生活、言語環境など全てにおいて、新しい世界に身をおくということです。
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、新しい世界に飛び込むことで、苦労することも多いでしょう。
家族帯同で赴任する際には、家族に対する責任が大きいですし、独身で駐在する場合でも日本で生活を続けるより、気を使う場面が増えると思います。
私の知り合いの中でも、駐在先で馴染めず、一年も経たないうちに精神的理由で帰国を余儀なくされる方を見てきました。
個人的には、厳しい環境で仕事を行うことを考えると、待遇、住居、福利厚生など少しでも良い条件で駐在したいと考えますし、自分自身や家族が納得できる環境で働きたいですよね。
昨今、多くの企業が海外に駐在員を配置し、”駐在員は高給取り”というのは、とうの昔の話です。
一方で就業規則で決まってるとは言いつつも、現状に則していない就業規則が残っているのも事実で、会社と条件交渉ができる余地があるのも駐在員というポジションだと思います。
会社との交渉で良い条件を勝ち取るためには、基礎となるルールを把握することが必須条件になります。
知らなくて損した、辛い思いをしたなどの後悔を駐在中にしないためにも、十分な準備をおすすめします。
正直準備をしっかり行っても、予想もしない事が次々起こる生活が待っているのですが(笑)、それでも準備しすぎるくらいがちょうど良いと思います。
全従業員に詳細が公開されてないパターンに注意
全従業員向けに就業規則は公開されていますが、海外駐在規定や手引きといった詳細な情報は限定的に公開・提供されることがあり、全従業員に公開されていないパターンがあるようです。
内規として駐在員にしか見せない管理をしている会社も多いようです。
別管理する意味がわかりませんが、そこに不満を言ってもしょうがないので。笑
会社内の海外駐在を担当とする部署や駐在経験者に確認を行い、ルールの見落しの無いように心がけましょう。
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